体験談

ママカフェ体験記16

私がママカフェで学び始めたのは、息子が高校1年生、娘が中学2年生の春です。

 

それまでの私の子育ては、指示、命令、叱る怒鳴るといったコントロールの子育てでした。

子ども達を立派に育てるのは親の役目、間違った道に進まないように、親がしっかりしないといけない、不良になるのは親が放任だから、という気持ちで、とにかく、微に入り細を穿って言い続けました。

 

いろんな習い事をさせたり、スケジュール管理することは親の務め、とにかく目の前のノルマを達成するような気持ち。

一つのことが出来たら、また次、また次、というように次から次へと課題を与えてきました。

それは、子ども達が何かを達成することに喜ぶ余裕もなく次の目標に向かって突っ走る毎日。

 

それでも子ども達が小さなうちは、うまくいっていて、自分自身も満足感を感じていました。

子ども達が褒められると自分が褒められている気持ちになり、子ども達が失敗したり、非難されるとそれも自分の評価のように感じていました。

 

息子が小学校高学年の頃、校内合唱コンクールで全然歌っていなかったり、授業参観でもダラダラするような姿を見て、ものすごくイライラしました。なんで、ちゃんと歌わないの、なんでちゃんと授業を聞かないのって。低学年の頃はハキハキしてたはずなのに…そんな息子を見て、もっと私が頑張らないといけないんだ、と思ってました。

 

息子が中学生になり、反抗的な態度をとってくるようになった頃には、ここで負けてはいけないと、さらに強い言葉で話したり、言い聞かせようとしました。相手が男の子なので体格差も感じるようになり、とにかく、高圧的に言い続けていました。当然、息子も強く反発してきました。正に押せば押し返される、の連続でした。本当に毎日が辛くて疲れてました。

子どもに関わるのもイヤになりました。でも、ここまで頑張ったのだからここで手綱を緩めてはいけないと、自分を奮起させる毎日。

 

言えば言い返す、大声出せば、もっと大きい声で返してくる、ああ言えばこう言う、とにかく毎日毎日バトル。

なんでこんなことになったのだろう、私はちゃんと子育てしてきてたのに・・・。

 

子育て本もたくさん読んで、子育ての講演会にも参加して、いろんな習い事もさせてきたし、旅行に行ったり、いろんな経験や体験もさせてきたのに。

なんでこんなに大変なの、なんでこんなに辛いの、なんでこんなことになってしまったのって・・・

諦め半分、子育てに疲れ切っていました。

 

息子が中学3年の3学期、地元の公民館できむにいの思春期講座が開催されました。

今さら聞いても手遅れかな、なにも変わらないだろうな、でも、やっぱり、気になる、そんな気持ちで参加した講座でした。

講座では、自分がやってきた子育てと真逆の話がされていて、自分の子育てが全否定された気持ちになり、悲しくて泣きながら講座を聞きました。自分が良かれと思ってやってきた子育てが、子どもとの距離を広げる、親子の絆を壊すような子育てだったと気づき、この世の終わりのような気持ちになりました。

 

それでも、これだ!こうやって育てたい!と心を大きく動かす希望の光を感じました。

そして、子ども達の人生、まだまだこの先長い、まだ間に合う、手遅れではないと奮起して、ママカフェで学ぶ決心をしました。

ママカフェに参加するようになっても、周りは赤ちゃんを連れた若いママ達でどうみても、浮いてるし、アウェイ感が強すぎて、参加が躊躇われました。(今は思春期向け講座があります。)でも、子ども達といい親子関係になりたい、楽しい毎日を過ごしたいとの気持ちで参加し続けました。

 

クオリティタイム、子ども達と一緒に遊ぶ、待つ、見守る…等を学んで、一体、高校生や中学生の子ども達にどう関わればいいかと悩みました。いきなり、クオリティタイムは自分にはハードルが高すぎるのでまず、子ども達と一緒に同じ部屋にいる時間を増やそうと決めました。買い物等に出かける時間を工夫して、子ども達の在宅時には自分も家にいるように心がけました。

 

しかし、せっかく同じ部屋にいても、子ども達と何を話していいのかわからず、指示や命令、スケジュールの話をしなかったら、本当に会話が出来なくなっていました。今まで本当に普通の話をしてこなかったんだ、あれこれ指示出ししていたんだ、質問が詰問になっていたんだと愕然となりました。近すぎるとウザがられるし、遠くから見ているだけでは何も変わらないし…どのくらいの距離感で、どの程度関わればいいのか、手探りの毎日。

 

ママカフェを学び始めた当初は、子どものために私が変わらないと、なんとかしないといけないという気持ちでいっぱいでした。

 

学び始めて34か月ごろ、あれこれ言わない私に息子から『前よりウザくなった。』と言われ、娘からは『ママが言ってくれないと何をやったらいいかわからない。』と言われました。

 

子どものためをこんなに思っているのに、こんなにも努力しているのに、なんで伝わらないの。

実はそう思っていた頃は、うまくいっていませんでした。

 

学びを継続し、学びが深まるにつれ気付きました。

あぁ私はこんなママになりたい、と思っていたんだ、こんな私でありたいと思っていたんだ。

すると、今までモヤモヤ、イライラしていたことも、少しだけど、心の整理ができるようになってきました。

 

『前よりウザくなった。』

『ママが言ってくれないと何をやったらいいかわからない。』

 

どちらの言葉も悲しく、ハッとさせられました。

そして、多少なりとも私の関わりが変わっている証拠だとも思えました。

 

それまでの私は、どんなこともできて当たり前という考え方だったので、子ども達の努力や頑張りに気づきませんでした。毎朝起きて、学校に行って、部活をやって、定期テストや課題をこなすこと、私はできて、やって当たり前だと思っていました。でも、疲れたり学校に行きたくない日もあっただろうに。

 

子どもたちは本当に努力してるし頑張っているんだとようやく気づきました。

 

私の意識や見方を変えるだけで、声かけや関わり方が自然と変わりました。

娘とは同性でもあり、会話もできるようになってきていたので、学校や塾の帰りにお迎えに行くことにしました。10分、15分ぐらいの時間だけど、一緒に歩くと自然と会話も増えました。そんなことから始め、今では学校、友達、部活等、なんでも話せる関係になりました。部活を辞めたいと言ったときには、質問力で学んだことが役に立ち、表向きの勉強に専念したいから部活は辞めたい、ではなく、本当の理由が聞けました。その理由が聞けたことで、問題がわかり、娘の心を支えながらの対応できて部活も継続することができました。

 

息子とはまだまだぎこちない感じではありますが、さらりと冗談も言えるようになりました。

しかしながら、すぐにこうなった訳ではなく、むしろ、遅々として前に進まず、イライラしてキレたり、子ども達の前で泣いたり、苦しいことのほうが多く、何度もくじけそうになっていました。ママ友たちは子育ても手が離れて仕事を始めたり、お出かけや旅行などを楽しんでいる姿を見ると、私はいまだに、子育てであくせくしていて、なんなんだろうと思ったりしたこともありました。

 

でも、小さな気づきや進歩や喜びを感じることがたくさんあり、そして子ども達とのかけがえのない生活は何物にも変え難く、とにかく今よりもいい関係を築きたい!この想いが大きな原動力となっていました。もちろん、きむにいやママカフェのママ達の存在なしでは、ここまで頑張れませんでした。何気ない会話や悩みをシェアすることで自分の課題や解決法がみえてきました。一緒に学ぶ仲間がいることは本当に心の支えになり、モチベーションになり、自分の軸がブレない道しるべのような、そして安心、安全な場所ができたことで、今も学びを継続できています。

 

思えば、子育てで自分の力の欲求を満たし、子ども達は自分の思い通りになる所有物のように思っていたんだと思います。本当に子ども達には申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

大切なのは、思春期になる前までの関わりだったなと感じています。

それでも、思春期になってからでも、遅いなんてことはありません。

必ず前に進めます。進んできました。

 

今も決してすごくいい親子関係とは言えませんが、あの時、きむにいに出会ってなかったら、本当にひどい状態になっていたと思います。今感じている幸せはなかったと思います。そして、自分自身も日々の生活や人生が、幸せに向かって大きく方向転換していったのを感じています。

子どもたちには、今までの分もたっぷり愛情を注ぎ、愛されていると感じてくれたら嬉しいです。

 

そう遠くない未来に我が家を巣立っていく子ども達を安心して見送りたい。

そしていつでも帰ってこられるような、そんな巣作りをしていきたいです。

嬉しい時も辛い時も、大きな心で子ども達を包み込んであげられる、そんな母でありたいです。